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 寄せ書き 
中垣理子「大好きな、信頼できるおとなの人」

世田谷文学館 学芸員
 星新一さんと世田谷文学館のご縁は、平成22年4月開催「星新一展」から始まります。 館のアンケートで常に開催してほしい展覧会の筆頭だった星さん、願いがかなったときは、皆、大喜びでした。 しかも「世田谷文学館? ああ、星新一さんの展覧会をやったところだよね」と言われるようになり、星さんのおかげで、世田谷文学館は多くのかたに知っていただくことができました。

 私自身、星新一・小松左京・筒井康隆「御三家」大活躍の頃に10代ど真ん中を過ごし、真鍋博さん、和田誠さんが手がける表紙の星さんの文庫本に親しんで育ちました。 その後の人生で展覧会に関わることができるなどと夢にも思いませんでしたが、星さんの本を前にすると、当時とまったく変わらない気持ちでいる自分が不思議でした。

「星新一展」以来、文学館を訪れる子どもたちと星さんの作品について語り、読んだ冊数を自慢し合ったりする機会が増えました。 平成生まれの彼らと昭和40年代生まれの私が、親子でもなく学校の教師・生徒でもなく、近所のオバサンとコドモのような関係で、文学作品を語り合えるシチュエーションを作ってくれるのは、星さん以外ありえないのではないかと思います。

 子どもたちと話をして感じるのは、星さんは、世の中のウソもホントも悲しみもユーモアも全てを知り尽くした、とても信頼できるおとなの人として存在していてくれることです。 こういう作家の読者であり、しかも母国語で読めるのは、とても幸せなことだとあらためて思います。 これからも子どもたちと読み競いあいながら、星さんの魅力をさまざまな形で伝えていけたらと願っています。


 展覧会の話に戻りますが、展示資料はいずれも『星新一 一〇〇一話をつくった人』の著者、最相葉月さんの緻密な資料整理と考察が施された、後世に伝えるべき文学・歴史資料でした。展覧会をご覧いただいた方は、資料から発せられる星さんの作家としての凄みに圧倒されたことでしょう。 星さんの頭脳ともいえる「非常時持ち出しの貴重品」のアイデアメモは、人間の想像力の偉大さを証明します。

 しかも星さんの魅力を伝える資料はそれだけにとどまりません。 展示の準備調査で、アルバムの写真を拝見していた時のことです。 子ども時代のある写真(ページ下に掲載)がどうにも気になり、拡大してみました。 それはご家族で新渡戸稲造さんのお墓参りをしている時のものでした。 一見神妙にお参りをしている風の星少年なのですが……。

 やっぱり星さん! 決して期待を裏切らない!
 こうした絶妙な仕掛けがあちらこちらになされているから、私たちは星さんのことを一層好きになってしまうのです。



(画像をクリックすると拡大できます)

新渡戸稲造の一周忌(昭和9年)に家族で墓参。
『明治の人物誌』(新潮文庫)にも
「この時の写真は今も残っている」と記されている


2015年1月

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