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 寄せ書き 
野口聡一「エヌ氏、宇宙にいく」

宇宙飛行士
 星先生のショート・ショートは、学生時代にかたっぱしから読んでいました。 必ずしも明るい未来の話ではなく、ちょっとこわい作品も多かったけれど、人間と科学の関わり方を考えさせる、星先生ならではのSF世界観が大好きでした。

 先生の作品は特定の時代や固有名詞を避けて、普遍的な舞台設定をされているので感情移入しやすい。 そんな舞台設定のなかから普遍的な教訓を感じさせる作風が宇宙的(ユニバーサル)なのでしょう。

 僕自身の名前のイニシャルがNであることもあり、星先生の作品にしょっちゅう出てくる「エヌ氏」は自分が大人になった未来の予想図のような気がしてワクワクしたものでした。

 いま読み返しても、昭和時代が持っていた「懐かしい未来観」がじわじわと蘇ってきます。 そう、僕たちは星先生が描く未来像をスポンジのように吸収しながら、時がたてば誰でも宇宙に出かけ、エネルギー問題を解決し、不老不死の時代がやってくると信じていたのです。

 時は巡り、夢の世界のはずだった21世紀もすでに15年。 星先生がご健在だったら、この21世紀でどんな未来像を描くだろう。戦争はいっこうに無くならないし、貧富の格差は拡大する一方だし、個人情報の流出や行き過ぎた管理社会に悩まされている。 銀河旅行や万能薬やタイム・マシーンに彩られた僕たちの未来予想図はどこに行ってしまったのでしょうか。

 それでも星先生は、こんな時代でもきっと何か未来的なきざしを見つけてくれるのではないかなと思います。 ちょっとした皮肉と、くすっと笑いたくなるひねりで、あのSFチックな世界観を展開してくれるのではないでしょうか。

 なんてったって、地球を時速25,000 kmで回る宇宙ステーションから宇宙飛行士が「今日は富士山がすごくきれい!」なんて写真をツイッターに送り、それを通勤中の乗客がケータイでリアルタイムで受け取る時代ですもの。 なんだか星新一ワールドっぽくていいじゃない、と、大人になったエヌ氏は思うのです。


2015年3月

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