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「生活維持省」と「イキガミ」との類似点 |
<主人公の立場>
1 独身の若い男性公務員であり、その法律の施行者である。
2 主人公が子供のときから、この法律があるという設定である。
3 その法律に懐疑的な同僚がいるが、主人公は疑問をなるべく持たないように教育されている。また、本人も疑問を持たないように努力している。
4 自分より若い人がランダムに殺されるという状況に、日常的に直面させられる立場にある。
<法律のコンセプトと施行のされ方>
1 この法律によって、犯罪や自殺が減ったということになっている。
2 国民の同意を得て制定された法律であり、表向きは現在もほとんどの国民が支持していることになっている。
3 選ばれる可能性が少ないために、ほとんどの人は、「自分は選ばれないであろう」と思いながら生きている。
4 誰が選ばれるか、ギリギリまでわからないようになっている。
5 死亡予定者の情報は書類の形で上部から課長の元へ届き、最終的に施行者へと手渡される。
6 人選には、人間の意志がまったく入り込めず公平である。
7 その人が誰かは問題でなく、その人が死ぬこと自体に意味がある。
<キーワード>
1 生活維持省の主人公が勤めるのは、「生活維持省」で、イキガミの主人公の仕事は、「国家繁栄維持法」に基づき死亡予告証を届けることである。生活維持省ではタイトルなので冒頭に書かれており、イキガミでもその言葉が本編の1ページ目に他より大きい文字で書かれている。
2 生活維持省の主人公は、「生きる権利と死ぬ義務は、誰にでも平等に与えられなければなりません」と言い、イキガミの主人公は、「まだ6歳だった僕は、その「義務」をよくわかっていないまま受け入れ・・・」と述懐している(11ページ)。ここで言う、かぎ括弧つきの「義務」とは、死ぬ義務のことです。
3 生活維持省では、主人公が「平和だなあ」と言い、イキガミでは、「この法律は平和な社会に暮らすわが国民に対し」との講義がある(12ページ)。
生活維持省のキーワードである、平和、維持、義務という言葉が、イキガミの本編が始まって8ページのあいだにすべて使われています。
<鍵となる小道具>
生活維持省の主人公が持ち歩く死亡予定者の名前が書かれた紙は、ポケットに入る大きさの紙であり、「カード」と形容されている。イキガミの主人公が持ち歩く死亡予定者の名前が書かれた紙「死亡予告証」も、やはりポケットに入る大きさのカードである。(赤紙は半紙のような紙で、カードではありません。)
<物語の手法>
1 生活維持省、イキガミともに、役所の建物の中。生活維持省では、生活維持省の建物内。イキガミでは、武蔵川区役所内。
2生活維持省、イキガミともに、オフィス内の机のそばで、課長が、死亡予定者の情報の書いてある紙を数枚まとめて主人公に渡す。課長の態度からは、感情が読みとれない。生活維持省の課長は、「ああ、おはよう。きょうの仕事はこれだけだ」。イキガミの課長は、「これ、今月分のイキガミ。頼みましたよ。」とだけ言い、それに対し主人公は何も答えない。
3生活維持省、イキガミともに、主人公が車で死亡予定者の家へ向かう。主人公自身は運転していない。
4 生活維持省、イキガミともに、車の中で主人公は死亡予定者の情報の書かれた紙を取り出して目を通す。その後、主人公の仕事に対する考え方が紹介される。生活維持省では、同僚の質問に答える形で。イキガミでは、主人公の心の中を見せる形で。
5 生活維持省、イキガミともに、目的の家に着く寸前に主人公が運転している人に話しかける。生活維持省では、「もう少し先に行って、左にはいるんだ」。イキガミでは、「運転手さん、急いでください」。
6 生活維持省、イキガミともに、目的の家に到着してチャイムを鳴らす。
7 生活維持省では、「どなた」、イキガミでは、「はい、どちらさまでしょうか?」と家の中から母親が答える。
8 主人公が、生活維持省では「おたくに、アリサさんというお嬢さんがおいでですね」、イキガミでは、「お宅の洋介さんに死亡予告証をお届けにまいりました」と母親に向かって言う。
9 アリサは外出中、洋介は自室にいて、どちらも主人公には会わない。父親やほかの家族も不在である。
10 生活維持省、イキガミともに、玄関で母親が倒れる。生活維持省では、生活維持省の役人とわかった時点で。イキガミでは、印鑑をもらう前に(35ページ)。
11生活維持省、イキガミともに、母親が青ざめた顔になり、ふるえ声で抗議をする。
12 生活維持省では、母親が「せめて、あたしを代わりに。お願いです」と言い、イキガミでは、のちに(55ページ)母親が「代わってあげられなくてゴメンね」と言う。
13 生活維持省、イキガミともに、玄関口で主人公は、さんざん聞かされて暗記した内容で母親を諭す。
14 生活維持省、イキガミともに、母親はその説明を聞いて苦しみながらも納得し、意外と簡単に同意する。
漫画版「生活維持省」と「イキガミ」の類似点
<コマ割り、絵、セリフが似ている箇所>
生活維持省の173〜175ページとイキガミの29〜32ページを隣に並べて比べてみた場合。
1 生活維持省、イキガミともに、ページの右上に、主人公の乗った車の外観。
2 そのあとに、生活維持省では、運転する同僚の膝。イキガミでは、主人公の膝。
3 生活維持省、イキガミともに、シートに座った主人公が、死亡予定者の名前の書かれた紙に目をやっている姿を横から描写
4 生活維持省、イキガミともにに、主人公が運転している人と言葉を交わす。
5 生活維持省、イキガミともに、ページをめくった右上に、家の外観。2階建ての一軒家。
6 主人公の顔のアップと前後して、生活維持省では、主人公が「ここだ」、イキガミでは、主人公が「さあ、いくか」と言う。
7 生活維持省、イキガミともに、主人公が、チャイムを鳴らす。生活維持省では「キンコーン」、イキガミでは「ピンポーン」と音がする。
8 生活維持省では、母親が「はーい」、イキガミでは、母親が「はい、どちらさまでしょうか?」と家の中から応える声が聞こえる。
9 生活維持省、イキガミともに、母親がドアを開け、玄関から出ないまま主人公と向き合う。
10 生活維持省では、「おたくにアリサさんというお嬢さんがおいでですね」、イキガミでは、「お宅の洋介さんに死亡予告証をお届けにまいりました。」と主人公が言う。
11 生活維持省、イキガミともに、母親の驚いた表情のアップ。
12 生活維持省では、母親が「死神」、イキガミでは母親が「死亡予告証って、イキガミのこと?」と主人公に向かって言う。
<表紙>
生活維持省(単行本159ページの扉絵)イキガミ(第1巻表紙)ともに、背広を着た主人公が、片手でカード(死亡予定者の名前が書かれた紙)を持っている。ほかには何も描かれていない。
<課長>
生活維持省(162ページ)
まず課長の顔のアップがある。そのあとのコマで、封筒に入った死亡予定者の名前が書かれた紙数枚を机の上におき、中指で主人公の方向へと押しやりつつ、「じゃ これ、今日もよろしく」と言う。
イキガミ(22ページ)
まず課長の顔のアップがあり、「これ、今月ぶんのイキガミ。頼みましたよ」と言う。そのあとのコマで、死亡予定者の名前が書かれた紙が入った封筒が、数枚重なったものを机の上におき、中指で主人公の方向へと押しやっている。
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