本年度より、教育出版の国語の教科書に、田丸雅智さんの「ショートショートの書き方講座」の内容が掲載されていることを知り、この文章の公開を決意いたしました。

星新一が審査員をつとめておりました講談社のショートショートコンテストで、1980年度の最優秀作に選ばれてデビューされた江坂遊さんは、星新一から直接受けた助言をもとに、星作品を長年研究されて、星新一へのオマージュとも言える独自のショートショート創作法を考案されました。 2011年には樹立社より『小さな物語のつくり方　ショートショート創作技術塾・星派道場』を刊行され、2013年からはワークシートを活用した創作講座もはじめられました。

その江坂さんの創作講座で、当初アシスタントをつとめていたのが田丸さんでした。 田丸さんが、2015年にキノブックスより『たった40分で誰でも必ず小説が書ける　超ショートショート講座』という書籍を刊行され、まるで、ご自分が考案した講座内容であるかのように書かれていたのにはおどろきました。 デビューして数年の新人作家に、どうして普遍的な創作講座など考案できたのだろうかという、当然の疑問をもたれない方が世の中に存在するという現状にも正直おどろいています。

私は、無から何かをつくりだすことの苦労と価値を理解しているもののひとりとして、教科書を通して広く子供たちに紹介されるものは、それが何であれ、オリジナルであってほしいと願っています。


2020年4月29日


関連事項
ショートショート大賞と坊ちゃん文学賞について