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 ごあいさつ 
星マリナ

没後のまほう



 8月末に『つぎはぎプラネット』が刊行されました。 これまで書籍に収録されなかった作品をひとつにまとめておきたい、という思いからうまれた作品集です。
 当初、私のなかでは「それらを読んで把握しておきたい」→「掲載誌が1セットしかないと、紛失や焼失するとこの世からなくなってしまう」→「コピーを何セットかつくって何人かに渡し、分散しておけばいい」→「それだったらコピーの束ではなく製本したほうがいいかも」→「自費出版で100部くらいつくっておけばいいかな」という思考の経緯があったのですが、最終的にこうして全国の書店にならぶ新潮文庫となりました。 しかも発売前から大きな反響があり、感謝と驚きの入り交じった心境です。


**** 以下、ネタバレを含むエピソードです。ご了承ください。****


 中学に入ってすぐのころだったと思うのですが、新しくできた友だちに「食後の魔法って知ってる?」と言われ「知らない」というと「じゃあ、やってあげる」と言われたことがあります。 その子が考えているものを、もうひとりの子が当てるのです。 私には何回聞いてもその「魔法」のしかけがわからず、だんだんおかしくて笑いだした友だちが、
「…… 机、みかん、電車」
「…… 犬、アイスクリーム、バレーボール」
「…… 消しゴム、えっと、じゃあ、カレーうどん、キティちゃん」
などと、食べものの名前を大声で言いはじめて数回後、「あ! 食べもののあとに言ったもの、ってこと?」と、やっと法則がわかったのでした。

 そのときに、さんざん笑われてくやしかったものの、「よくできてるなー。これを考えついたのは、一体だれなのだろう」とやたら感心したことを覚えているのです。 正確には「覚えていた」のではなく、今回『つぎはぎプラネット』準備中に「食後のまほう」を読んで「思い出した」のです。 放課後の教室。 グレーの制服。 友だちの笑い声を。
 そして今になってわかったのです。 考えたのは自分の父親だったと。(*o*)

 「食後のまほう」は、1960年に「考える子ども 四年生」掲載。 私がうまれる3年前。 中学入学の15年前です。 少なくとも15年間は、子どもたちのなかで語りつがれた物語。 今読んでもやっぱりおもしろい。 「食後のまほう」なのだと、最初に答えを言っているのがすごい!
 父の没後15年が経ち、あらためて感心している自分に気づき、もしかしてこれも「魔法」なんじゃないだろうかと思ったりもするわけです。
 『つぎはぎプラネット』を読んでくださる読者の方々にも、そんな魔法のような1編が見つかることを願っています。

 未収録作品の特定と収集には、多くの方のお世話になりました。 この場をかりてお礼を申しあげます。 未収録作品特定のもとになっている初出リストの調査は高井信さんに丸投げ状態でしたが、山本孝一さん、和田信裕さんにもお手伝いいただきほぼ完成となりました。
 新潮社の田中範央さんには伊豆の別荘までの往復で大渋滞にまきこまれえんえんと運転していただくことになり、内田諭さんには何度も国会図書館ほかへ行っていただきました。 星新一コレクターとして日本一(世界一)の門司邦夫さんには、ほかの方には頼めないことを調査していただきました。
 そして、なんといっても最相葉月さんが『星新一 一◯◯一話をつくった人』執筆のさいに父の遺品を整理してくださっていたことが大きかったです。 そうでなかったら、自分ではどこから手をつけていいのかすらわからなかっただろうと思うのです。
 掲載誌や情報をお寄せくださった方々、それらをまとめてくださった高井さん、ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 夜中に目がさめたときなど「もしかしたらまだどこかに未収録作品があるのではないか」と心配になったりもするのですが(それがオチなのではないか?)、とりあえず今はそのことをあまり考えないようにしているのでした。


 さて、日本SF作家クラブ創立50周年の今年、もうひとつの大きなニュースは日経「星新一賞」の創設です。 くわしくは星新一賞のページをご覧ください。 しめきりは、10月31日の夜中です。 みなさまの、理系的発想にあふれた作品をお待ちしております!


2013年9月6日(ホシヅルの日)
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