公式サイト開設にあたって
星マリナ (星新一 次女)
Marina Hoshi Whyte
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父が亡くなって10年。小説を書かなくなってからだと20年にもなるというのに、今でも父の作品を読んでくださる方が大勢いるということは、私たち遺族にとって本当にうれしいことです。
たとえば「ブランコのむこうで」。この本は初版が1971年です。当時は「だれも知らない国で」というタイトルで、本の形態や表紙も完全に子供向けでした。8歳だった私も「子供向けだから」と言われて読んだのですが、あとで父に感想を聞かれて「まあまあおもしろかったけど、よくわかんなかった」と答えた記憶があります。
その後、この作品は新潮文庫に入り、2003年には新しい表紙で改版されました。そして昨年、発行部数の累計が100万部を超えたそうです。ノンフィクションライターの最相葉月さんと会ったときに、その話を思い出し、何気なく、「あの本、いつそんなに売れたんでしょうね」と聞いたら、「今ですよ」と言われて、「え、今売れているんですか?」と、びっくりしたことがありました。「20代や30代の女性に人気らしいですよ」と最相さんは教えてくれました。(注1)
私も、あらためて読んでみて思いました。「これ、8歳の子供には、わかんないでしょう」と。時間が経って、書いた本人にそのつもりはなかったのに「これは大人にこそ読まれるべき本だ」と気がついた書店員の方がいて、それで口コミで評判が広がって売れているということのようです。そんなこともあるのですね。
生前、父があれだけの数の作品を書きつづけられたのは、応援してくださったファンの方たちと、よき理解者であった小松左京さんや筒井康隆さんをはじめとするSF作家のみなさんがいてくださったからだと思います。また、父の本がこれだけ長いあいだ売れつづけているのは、出版社や書店の方たちが盛り上げてくださったおかげだと思っています。
父がお世話になったみなさんに、この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
さて、このたびクリアキューブの有馬あきこさんの協力を得て、星新一公式サイトを開設することができました。はじめのうちは情報量も少なめですが、少しずつ内容を充実させていく予定なので、またしばらくしたらのぞいてみてください。海外(特に英語圏)に父の作品を紹介していくことも目的のひとつなので、英語のページも増やしていくつもりです。
どうぞ、末永くよろしくお願いします。
2008年3月11日 ハワイにて
注1 この会話、立場が逆だと思われるかもしれませんが、日本には父について私よりくわしい人がたくさんいるので、こういうことはよくあるのです。高校のとき、現代国語の先生に「星は、森鴎外とも親戚なんだってね」と言われて、「え、そうなんですか?」と答えたこともあります。
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