未知の星、夢のような星、いじわるな星、気まぐれな星、すばらしい星、輝く星、あわれな星、薄暗い星。星さんの作品タイトルから星がついている部分を抜き出して並べてみました。眺めていると、深読みしたくなってきます。
星さんは作品タイトルに自己評価を残しておかれたのかも。誰か気づく者が出てくれば面白いだろうというわけです。それなら、お茶目な星というのがないのはとても残念なことだと思いますね。
星作品の質と量は、イソップをしのいでいるんじゃないでしょうか。星さんは日本が世界に胸を張って誇りうる、(お茶目な)大作家だと今更ながら思います。
「星さんは、世界の中でも類いまれですね」
銀座のバーで、話の水を向けたときのことです。すると、こんな答えがありました。
「この前、磐城市に行ったらタクシーの運転手も星という名前で、あそこでは星というのは珍しい名前なんかじゃないんだなぁ。星の数ほど星がいるんだ」
やはり何としても、お茶目な星を書いておいていただきたかった。
さて、そんな偉大な光り輝く星さんに、作品を選んでいただけた幸せ。わたしは今でもそれを誇りにして生きています。わたしだけじゃないでしょう。星新一ショートショートコンテストからデヴューを果たした作家はみんないつも偉そうに嬉しそうに胸を張っている。そんな風にわたしには見えるのですが、如何でしょう。
「親の七光り」という言葉がありますが、これをわたしたちはお茶目にいいかえ、「星の七光り」と表現しなければいけないのでしょう、きっと。
2009年12月
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