2000年以来断続的に日本SF大会でスタッフをしている平井博英と申します。
自分の名前ですが、生まれた時の案の一つに「新一」があったと聞かされていました。(父が「新太郎」です。)
SF関係で色々お付き合いが増える中で、「新一」だったら、「平井新一」という凄く強力な名前だったなあ、とご縁を感じています。
星新一先生の作品との出会いは、多分小6か中1のころ、ショートショートの文庫を何冊か読んで結構熱中したものの、実はその後にフレドリック・ブラウンに流れ、更に他のSF作品を読み始めて、離れてしまったもので、実はストーリーもほぼ失念しております。
そんな自分が何故ここに寄せ書きすることになったかと申しますと、2022年開催の日本SF大会F-CONに遡ります。
星一さんご出身地の福島県での開催とのことで、それに因んで企画をしようということから、シカゴの世界SF大会で友人に紹介された星マリナさんに、大会スタッフとしてコンタクトを取ったところから始まります。
大会では、仲間と友に、星一さんゆかりの品の写真展示や、星マリナさんからお預かりした星新一先生の世界各国での翻訳版を展示したり、ホシヅル文庫『三十年後』(星一著)『泡沫の歌 森鷗外と星新一をつなぐひと』(小金井喜美子著)の販売を行なったりしました。
その後、浦和での2023年度大会では、星新一賞受賞者パネルが開催され、多くの受賞者に集まって頂きました。
(自分は、企画主催者ではなく、スタッフとして窓口を担当)
そんなご縁があって、始めましたのが、ホシヅル文庫の同人誌即売会での販売活動です。
ご連絡取り始めた頃は、新潮社さんでの流通が終了しており、一部の書店さんや世田谷文学館・森鷗外記念館等での販売をされていましたが、本が好きな読書家、星新一が好きなファンの方に、目の付くところに届けるのが必要かと感じました。
「同人誌即売会」ならお手伝い出来るかと思ったものの、実は、最大の即売会である「コミックマーケット」では、規定上売ることが出来ない出版物でした。
そこで、確認してみたところ、「文学フリマ」であれば、販売可能ということで、2023年5月を皮切りに、東京2回と広島に出店してみました。(寄稿時点で、2024年5月東京、9月大阪を申込済)
何れの会場でも多くの人に足を運んで頂き、着実に売り進めていますが、来店された皆様の話を伺っていますと、星新一先生の作品を読み込んでおられる方が(当然ながら)多いこと多いこと。
事前宣伝等はほぼ無くカタログに載せた程度なのにも関わらず、カタログを読み込んで、出店に気が付いて、来店して頂いています。
文学フリマは「文学作品展示即売会」ということで、絵・マンガよりは文字の世界をメインとしていますので、皆さんに手に取って見て頂けています。
来店された方とお話をすると、ふと立ち寄ったというより、星先生の作品をお好きな方が多く、また、『三十年後』については、当方から「お父さんです」「SFです」なぞご説明するまでもなく、買ってゆかれる方が多いです。
多分に、『人民は弱し 官吏は強し』などを読まれているのでしょう。
作品を読み直したわけでもないのに、いや、作品とは違う接し方をすればこそ、改めて星新一先生の愛され度合いを実感しているこのごろです。
2024年5月
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