昨年、小松さんがロケットに乗って宇宙に旅立たれましたが、それを迎えられた星さんの何とも言えない、嬉しさをこらえきれないような笑顔が目に浮かびます。きっと待ちきれずに出迎いに途中まで来られたかも知れません。
そんな事を思うとき、星さんはお若い時に、お嬢さんが作家を目指してくれることを、秘かに期待し、楽しみにしていらしたことを、お話していらした事を思い出しました。
作家である父親のことを書いてよい仕事をしている女流作家の名を上げ、幸田露伴における幸田文さん、室生犀星の室生朝子さん、萩原朔太郎の萩原葉子さんの等々の仕事ぶりに関心をもたれていられて、女性だから書けることもあると言われていられましたが、マリナさんが角川文庫になった『わたしの波乗り日記 in Hawaii』を書かれたときは作品になっているのだよと言われて、本当に嬉しそうでした。
(ご自身が森鴎外の実妹の明治の女流文学者小金井喜美子の孫であると言うような事は、ほとんど話されませんでした。)
ですから、2010年に世田谷文学館で開催された星新一展でマリナさんの作品のパネルを拝見したときは、お父様としての星さんのお喜びは如何であろうかと、昔のことを思い出してうれしく思いました。
2012年4月
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