寄せ書き
武田友則「私のSFの入り口、そしてSFコンベンション」
SF大会 武田警備隊長
最初に星新一さんの作品を知ったのは学校の教科書でした。 小学校か中学校か忘れましたが、国語の教科書に載っていました。
異星人が地球にやってきて友好を結ぼうと考えるのですが、そのときに起きる地球人の反応を題材にした作品でした。 その、あまりにも痛快なラストシーンに唖然としたのを覚えています。 それからは、暇さえあればその話を読んでいました。 周りから見れば、熱心に教科書を読んでいる子どもに見えたでしょう。 私としては、ただおもしろい話だったので読んでいただけですが。
そのうち他の作品も読みたくなり、親に買ってもらったのを覚えています。 やがて、星さんの作品は私の本棚のかなりの部分を占めるようになりました。 しかしSFと言う認識はしないで読んでいました。
大人になり、本格的にSFを読みはじめてから、日本SF大会というイベントを知りました。 これは年に1回SF好きが集まり、SFを題材に楽しもうと言うイベントです。 このイベントは50年以上の歴史があります。その第1回に星さんは参加されています。
その事を知ったときに思ったのが「ああ、星さんの作品はSFか!」でした。
もちろん星さんの作品には、SFでは定番の題材である宇宙人やタイムマシンが出てきます。 なかにはコンピュータネットワークの話もあります。 しかし星さんの作品のなかに出てくるときには、その登場の仕方があまりにも普通で、普段の生活の話の延長ぐらいに思っていました。
ですからSF大会というイベントに来た事があると知ったときに、意外に思ったのです。 SFと言う非日常を扱うようなイベントに、日常生活で起こりそうな話を書く方が来られているのが驚きでした。
私もこのイベントにスタッフとして参加するようになって、すでに20年が経ちます。 ここで私は、毎年会場の警備を担当しています。 そのおかげで今では「武田警備隊長」と呼ばれています。
そしてその入り口が、私にとっては教科書の「友好使節」だったというわけなのです。
今でもたまに星さんの作品を読み返すことがあるのですが、古さを感じさせないテーマやストーリーには驚きます。 中には実現した技術もあり、その先見性にも改めて感動させられます。
これからも星さんの作品は、SFと言うジャンルの中で輝き続けることでしょう。
2012年12月
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