星さんのことを考えると、私にとって好きな星座、一角獣座を想い描くことになってしまう。
何故か自分でもわからないが、そこで輝いている巨星を想像してしまうのだ。
私の父、渡辺啓助が「科学小説」を創刊していた頃のことである。
ある日、家に帰ってくると大きな靴だったか下駄が我が家の玄関を一人占めにしていた。
存在感がオーラを発していた。
それを見た私は嬉しさがこみあげてきた。
そして大きな豊かな笑い声が家中に満ちていた。
とにかく足も手も声も大きかったように記憶している。
大作家になられてからも、その印象は変わらない。
私の企画した『宮澤賢治という風』の出版記念会や、父のエッセイ集『鴉 ― 誰でも一度は鴉だった』の記念展にも気軽に出席してくれて、一緒に写真を撮り、あの笑顔を見せてくれた。
それらは私の大事な宝物である。
今でも星さんは、?マークや謎、不思議なユーモアを駆使して、アイロニーや諧謔達を友人にして、あの一角獣座で輝いていると思うと愉快である。
星さんはやっぱり文学界の巨星です。
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渡辺啓助氏がイラストを担当したエスペラント語訳 『星新一短編集』(1983)の表紙と裏表紙。 渡辺氏の描いたカラスの絵は、星新一の書斎にも飾られている。 |
2014年4月
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