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 寄せ書き 
石黒浩「SFと科学」

大阪大学教授
 実は私が星新一の作品をちゃんと読んだのは,星新一賞の審査員の話が来てからでした. 無論名前は知っていて,おそらくはロボットの研究をするずっと以前に作品を読んだことがあると思うのですが,よく覚えていませんでした. しかし,ロボットの研究者になった今,改めて星新一の作品を読んだのですが,驚きに満ちていました.

 驚いたのは,その未来を想像する力です. 幾つかロボットに関わる作品を読んだのですが,まるでロボットの研究がどのように発展していくかを知っていたかのようなストーリーが展開されています. 無論,完全に今のロボットを説明しているわけではありません. 細かい部分では違いがあります. しかし,大筋では十分あり得るロボットを描いて,とても驚かされます.

 思い返せば,現代においては星新一のように未来の姿を予測しているSF作品はとても少なくなっているように思います. 特にロボットにおいては,星新一よりも未来のロボットの姿を描いている作品は殆どありません. 現代のロボットに関するSF小説では,たいていの場合ロボットは人工知能を持って人との違いに悩むという設定を用います. でもそうした設定は既に星新一らによって何度も用いられた設定であり,現代のSFには未来を想像するという点で新しさは殆ど無いのです.

 SF作家の本来の役割は,科学者の想像力を超えて未来を想像し,小説に描くことです. 星新一はまさにそのようなSF作家であったわけです. 科学をさらに発展させるためには,SF作家の想像力は重要です. 今後第二,第三の星新一はどうやって生み出されるのでしょうか. 科学がSFに追いつきSF作家の想像力に限界が見えだした現代では,もしかしたら科学者自身がSF作家の役割を果たさないといけないのかもしれません.


2015年7月

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