私が星作品に出会ったのは、スキーで骨折し入院していた大学2年の冬でした。
以来、ファンになり、作品を次々に読みあさっていました。
その年の4月、私が所属する研究会に、新入学の後輩女子が入会してきました。
名前は、星さん。
なんと、かの星新一の父・星一氏が生まれた家が実家だというのですからビックリです。
にわかには信じられませんでしたが、話を聞いているとどうも本当らしい。
そんな出会いが40年ほど前にありましたが、後輩の星さんは、その後、村木さんと名乗ることになったのでした。
私がいわき市立勿来(なこそ)第一小学校で5年生を担任していた、1991年のできごとです。
5年生の国語の教科書に星新一さんの「おみやげ」と小松左京さんの「宇宙人の宿題」という作品が載っていて、1学期の最後に子ども達と楽しく読んで、夏休みに入りました。
毎年秋に、いわき市錦町で行っていた星一顕彰会の献花祭には、新一さんも必ず出席されていて、星一の生家であるところの妻の実家に泊まっていただいたこともあります。
その年の献花祭には私も参加させてもらえることになったので、2学期に入ってすぐに、「おみやげ」の星新一さんに手紙(感想文)を書いてみないかと子ども達に提案したところ、みんなとても乗り気で、すぐに書き上げてくれたのです。
10月の献花祭当日、昼食を兼ねた食事会の席で子ども達の手紙をお渡しすることができました。
ひと月ほど経って、学校に新一さんからの手紙が届いたのです。
自分達の手紙に対して教科書の作家さんが返事をくださったことに、みんな大感激。
すぐに開封し、子ども達に読み上げてやりました。
子ども達は、自分達の意見・疑問・質問にていねいに答えていただいて、またまた、大感激、大興奮でした。
いただいた手紙は、次のとおりです。原本の画像も添えましたのでご覧ください。
十月にお会いして、時がたちました。
本を読んでいますか。できるだけ、おもしろい本を、読んで下さい。むずかしい本を、むりして読むことはありません。
フロル星をわからない人がいるようですが、どうでもいいことです。もとは「花」を意味することです。「ゴミ」よりは、いいでしょう。
わからない部分は、書いた人がいけないのですから、気にすることはありません。
小説をうまくなりたいのでしたら、友だちに話すことです。面白がってくれれば、上達したわけです。
少し前に、生活で事件があり、しばらくは仕事を休みます。人生には、いろいろあります。
星新一
いただいた手紙で、子ども達と私がとても興味を持ったことがあります。
それは、便箋の原稿用紙が「翼のあるペン先の絵+ELZIN BOND」の透かしが入ったものであることでした。
「星新一さんのような大作家は、自分専用の透かし入り原稿用紙を使っているんだね(どうも私達の誤解であったようなのですが……)。すごいね!!」と、そんなことにも、みんなで感心しきりだったのでした。
蛇足ながら、手紙にある「生活で事件」というのは、お母様の精さんが亡くなられたことではないかと推測しています。
(画像をクリックすると拡大できます)
1991年11月 いわき市立勿来第一小学校の
村木先生のクラスに宛てた手紙
2016年5月
|