私がWebデザイナーとして、初めてこの星新一公式サイトを見たのは日本SF作家クラブ設立50周年記念Webサイトを構築していたときだから、2012年頃だと思う。
当時は星新一も設立メンバーの一人と言うくらいの知識しか私にはなかった。
私は読書は嫌いではないが、これまで星新一やショートショートに正面から触れたことはなかったのだ。
とりあえず、なんの予備知識もなくhoshishinichi.comの「寄せ書き」を開く。
一人目は、星マリナさん。星新一と同じ苗字だから家族なのだろう。
だが、家族だからとそういう単純な理由で書いたにしては巧すぎる。唸った。
次はタモリさん。
意外な接点があったのだと知る。
その次、漫画家の浦沢直樹氏の体験談は興奮しながら妻に話したくらいに面白かった。
私が名前を知っている人をひと通り読み終えると、次は私が名前を知らない人のも読む。
正直なところ、どの人のも面白かった。
最初はhoshishinichi.comを値踏みしようとまで思っていたのに、いつの間にか「寄せ書き」に惹かれ純粋にそのコンテンツを楽しんでいたのである。
まさに、ミイラ取りがミイラ状態であった。
いつしか、私は職業柄このサイトに関わりたいと思うようになっていた。
誰だってそうだと思うが、自分の好きなものを世界に広めたいだろう。
私にとっては「寄せ書き」だ。
しかも、自分の技能が役に立つと思えばこそ、スタッフとして参加したいとアピールした。
アピールのかいあって、この公式サイトをリファインしようとプロジェクトが立ち上がり動き出すのだが、突如私の持病が悪化したため、プロジェクトは完了することなく今に至る。
だが、それから数年経った今でもサイトのメインコンテンツとして「寄せ書き」は存在し順調にボリュームを増やしている。
「寄せ書き」は、全員が同じひとりの作家についての個人的な思いを書いているだけだが、時間を越えても楽しめる広がりを見せてくれる。
それはきっと、星新一という人物や彼の残した作品の影響力が大きいからなのだろう。
2017年12月
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