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イキガミ見解 2021
2021年9月23日
星ライブラリ代表 星マリナ


このたび、小学館「ビッグコミック」にて、「イキガミ 再臨」という漫画の連載がはじまったということを知りました。 以前連載されていた「イキガミ」の新章ということなので、その第1話を入手して読んでみました。

「イキガミ 再臨」の世界では、やはり星新一の「生活維持省」の主人公に似た役人が、〈国家繁栄維持法〉を執行する〈厚生保健省〉の役人として、同じような葛藤を抱えつつ、ランダムにえらばれた国民と対峙する仕事をしているのでした。

ある年齢以上の方であれば、私が2008年に本サイトで公開したイキガミについての見解を読まれた方もいらっしゃると思います。 公開時には1週間で100万以上のアクセスがあり、新聞5紙(読売、朝日、毎日、産経、東京)で報道されました。 見解のページは、ニュースアーカイブ(過去のニュース2008)以外のどこからもリンクしていないにもかかわらず、13年たった現在でも月平均500程度のアクセスがあり、関心の深さがうかがえます。

そこで、この機会に再度トップページのニュースからリンクして、興味のある方に当時公開したそれぞれの見解を読んでいただきたいと考えました。



2008年9月に公開した3つのページ
漫画「イキガミ」について     星マリナの見解
「生活維持省」と「イキガミ」の類似点     同年6月に小学館に送付したもの
星マリナさんの『イキガミ』に対するお尋ねについて     小学館の公式見解




漫画「生活維持省」扉
2003年7月刊
秋田書店『コミック星新一 午後の恐竜』所収
 
『イキガミ』第1巻表紙
2005年1月連載開始



なお、星新一本人が生前、類似と言える案件にどのように対応したかは、筒井康隆さんの寄せ書きをお読みください。 (この寄せ書きは、偶然イキガミ見解と同年同月に本サイトに掲載したものですが、実際はそれ以前に書かれたもので本件とは無関係です)



また、2008年に書かなかったこと(1)と、その後に起こったこと(2)を、この機会に公表することにしました。

(1)「星新一にインスパイアされた」の即日削除

当時、小学館が全面否定しているにもかかわらず、なぜ私が抗議したことを公表したかについて、不思議に思われた方もいらっしゃったと思います。 私は、小学館に抗議をする前に、ネットで検索できる情報を大量に読みました。 そのなかに、「イキガミの作者が、星新一にインスパイアされたと言っていた」と書かれたブログ記事がありました。 その記事のスクリーンショットを撮っておかなかったのは痛恨のミスでした。 新潮社を通して小学館に問い合わせをしたその日のうちに、その記事が削除されてしまったのです。 つまり、ごく一部の関係者しか、私が問い合わせたことを知らなかった日にです。 それは、2008年4月22日のことでした。

ほかにも「星新一にインスパイアされたらしい」というコメントは見かけましたが、実際に聞いた方によるものは、ほかには見つかりませんでした。 証拠がありませんので、このことについては2008年には触れませんでしたが、以来ずっと書くべきだったのではないかとわずかな後悔がありました。 私も、出来事を記録することの大切さがよくわかる年齢となり、たとえ嘘だと批判される可能性が大きくても記しておくことにしました。



(2)小松左京さんのお別れ会で

2011年に小松左京さんのお別れ会に参加した時に、「マリナさんに謝りたいっていう人がいるんですよ」と、ある方を紹介されました。 小学館の社員であるその方は、イキガミの名前を出さずに、「子供の頃から星新一さんのファンだったのに、あんなことになってしまって、マリナさんに謝りたいと、ずっと思っていたんです」とお話しくださいました。 お名前は伏せ、その方の立場に触れるのも控えます。

私は今でも、目の前が真っ黒な雲でおおわれているような気持ちになるときに、その方のことを思い出します。 どんなに暗い雲であっても、その向こうには輝く星があるのだと。 小さな光で見えなくても存在するのだとイメージできるようになったのです。 このことはいつか、その方にご迷惑がかからないと思える時がきたら書きたいと思っていましたが、このタイミングとなってしまいました。 ご迷惑がかからないことを心より祈ります。

そのお別れ会で、眉村卓さんに「あんまり無理しないでくださいね」と言っていただいたのも印象的でした。 みなさん、イキガミという言葉を出さずに、「たいへんなことと言えばイキガミ」という暗黙の了解のもとに会話をされるのでした。



2008年以来、ご心配いただいた方、一緒に憤慨してくださった方には、深く感謝しております。 今回の新連載は、和解によるものではないということを広くお知らせしたく、再度見解を公開いたしました。



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